導入事例

【VMware vSAN 導入事例】 ローツェ株式会社 様

2022/03/30

ビジネスを支える全社仮想基盤をVMware vSAN ベースのHCI で刷新。
限られた電力量の中で、ITシステムのモダナイズを推進

半導体ウエハ搬送機器や自動化システムの世界的メーカーであるローツェは、KVMをハイパーバイザーとする仮想環境が老朽化し、運用管理やBCP(業務継続計画)、コンプライアンス対応など、あらゆる観点から限界に達していた状況を捉え、VMware vSANをベースとするHCI(ハイパーコンバージドインフラ)への全面的な刷新を図りました。開発環境や検証環境など、必要な仮想マシンを必要なときに迅速に立ち上げることが可能となり、ITシステムのモダナイズや工場のスマート化に向けた取り組みを始動させています。

導入前の課題

  • 既存のKVMベースの仮想環境の複雑化と運用負荷の増大
  • 必要な環境がすぐに準備できず、都度、社内稟議等を行ったうえで調達が必要
  • IT システムが増大するのに比例して工場内での消費電力が増大

導入効果

  • 煩雑なメンテナンス作業からの解放により運用管理負荷を大幅に軽減
  • ユーザーエクスペリエンスの向上やガバナンス強化など様々な施策にも柔軟に対応できるITインフラの構築
  • 使用できるITリソースを拡大しつつ省スペース・省電力化を実現

「VMware vSANベースのHCIを採用したことで、仮想環境を構成する物理サーバー台数が10台から4台に削減され、外付け共有ストレージもなくなり、消費電力を大きく削減できました。おかげで生産ラインの稼働に必要な十分な電力を確保できています」

プロジェクトメンバー

複雑化した仮想環境の課題が深刻化

半導体ウエハおよび液晶ガラス基板の搬送・自動化システムを主要事業とするローツェ。現在、同社のロボットや搬送装置などの製品はウエハ製造工程やマスク製造工程で欠かせない機器として、主要な半導体メーカーの世界中の工場で使われています。

そんなローツェが創業したのは1985年のこと。プレハブの社屋で、わずか 6名からのスタートでした。その後、超小型ステッピングモータドライバの開発製造を皮切りに、超小型コントローラ、クリーンロボット、真空ロボット、ダブルアームクリーンロボット、液晶用クリーンロボット、多軸補間クリーンロボットなどの製品を次々と世に送り出しながら、シンガポール、台湾、ベトナム、米国、韓国、中国にも拠点を展開するグローバルな企業へと発展を遂げてきました。

しかし、この事業の成長に追随しきれていなかったのがITインフラです。ローツェ IT戦略室 室長の南勲氏は、「弊社では開発・設計・生産のインフラを増強することに全力を挙げて取り組む一方で、ITに関してはその場その場の工数削減のためのツールとして、必要なたびに継ぎ足しの導入が行われてきました」と振り返ります。

結果として、維持管理が行き届いていないサーバーが乱立。KVMをハイパーバイザーとする仮想環境を導入していたものの、そのクラスタを構成する10台の物理サーバーだけでなく、さらにそこで稼働している約30台の仮想マシンもすでにサポートの切れた異なるバージョンの古いゲストOSが混在し、仮想環境の複雑化が進んでいました。

「もはや既存の仮想環境は耐用限界を超えており、障害が発生した際の対応工数が増していくばかりです。BCPのネックとなるほか、さまざまな業務のコンプライアンス要件を満たせなくなるおそれもあります。当然のことながら、今後に向けて見据えている工場のスマート化にも対応することができません」と南氏は語ります。

KVMからVMware vSANベースのHCIにリプレイス

上記の課題を解決すべく2020年3月、ローツェはさまざまなITシステムを統合する仮想環境の全面的な刷新に向けた取り組みを開始しました。そうした中で新たな基盤の選定条件として策定したのは、大きく次の4点です。

1点目は、耐障害性です。国内や海外のビジネスに応じるために工場の24時間操業に対応するともに、不測の事態が起こった際にも可能な限り稼働を継続しなければなりません。

2点目は、省電力性です。工場内で使用できる電力量には限りがあり、しかもそれは生産ラインに優先的に割り当てる必要があります。すなわち生産設備の稼働に支障を及ぼさない範囲で運用可能な基盤でなければなりません。

3点目は、古いOSの継続利用です。サポート終了したOSで動作しているシステムは最新バージョンのOSにあわせて改修する必要がありますが一気に手が回りません。そこで現行の仮想マシンをそのまま新環境に移行し、運用を継続できる必要があります。

4点目は、運用の負荷軽減です。前述したようにローツェにとって注力すべき対象はあくまでも開発・設計・生産といった活動であり、仮想基盤の維持管理に費やす工数はできる限り抑えなくてはなりません。

この方針に基づきローツェは3Tier型とHCI型の両面から複数のベンダーの製品について調査・検討を重ね、その結果として2021年1月にデル・テクノロジーズのDell VxRail(4ノード構成)を選定しました。ストレージ仮想化テクノロジーのVMware vSANをベースとし、VMware vSphere環境向けに最適化されたHCIアプライアンスです。

これまでローツェが利用してきたKVMはLinuxベースのハイパーバイザーということもあり、頻繁にバージョンアップやパッチが発生し、そのたびにシステムを停止して更新作業を行わなければなりませんでした。こうしたメンテナンス自体が工場のBCPを阻害する要因となってしまうのです。また、更新作業の遅れが積み重なっていくことが、仮想基盤の陳腐化を招く原因にもなっていました。

このようなKVMのデメリットを、vSphereおよびvSANで解消できると考えたのです。「 vSphereはハイパーバイザーとしては枯れた技術ですが、そのぶん製造業をはじめとする多くの企業で安定して稼働している実績があり、古いゲストOSもそのまま動かせる安心感がありました。さらにDell VxRailであれば、ハードウェアからソフトウェアまですべてのサポートをデル・テクノロジーズに任せられることも運用上の大きなメリットと判断しました」と南氏は話します。

なお、ローツェはDell VxRailとあわせ、統合データ保護アプライアンスのDell PowerProtect DP4400を導入しています。バックアップは仮想マシンのスナップショットを取るという考え方もありますが、万一HCI 全体障害が発生した場合にデータを保護できなくなるおそれがあります。「それでは本当の意味でのBCP強化にならない」と南氏は、スナップショットのみに頼らない仮想基盤外へのバックアップを選択した理由を示します。

仮想環境のリソースの強化と電力問題を両立、さらに柔軟性を大幅に向上

2021年6月に本番稼働を開始したDell VxRailは、ローツェの仮想環境に画期的な改善をもたらしました。

同社 IT戦略室の松林宏明氏は、「物理サーバー台数は10台から4台に減りましたが、逆にシステムのリソースには余裕が生まれており、仮に仮想マシンの数が従来の倍に増えたとしても問題なく運用に耐えることができます。加えてvSphere とvSAN によりシンプル化された仮想環境においては、たとえば検証環境が必要になった際もすぐに立ち上げることができます。必要になったサーバーをその都度稟議にかけて調達しなければならなかった以前を思い返せば、まさに夢のような環境です」と話します。

加えてDell VxRailのファームウェアやvSphereのアップデートについても、デル・テクノロジーズによりリモートで行われるため、ローツェ側での運用管理の作業負荷は大幅に軽減されています。松林氏によれば、これを含めたトータルなコスト削減の効果は「スタッフ1人分の人件費(年間約900万円)にも相当します」とのことです。

当初からの懸念であった電力についても、まったく問題なくクリアしています。

「生産ラインの稼働に支障をきたさないため、電力に十分な余力を確保できたという意味でも、vSANを搭載したDell VxRailを採用したことは正解でした。仮に外付けの共有ストレージを必要とする3Tier型の仮想環境を導入していたならば消費電力がオーバーしてしまい、工場内で新たに電源工事が必要となるなど巨額の追加コストが発生していたかもしれません」と南氏は話します。

工場のスマート化に向けた施策を展開

ローツェはこの新たな仮想環境を活用することで、ITシステムのモダナイズを推進していく考えです。

「開発環境や検証環境など、必要な仮想マシンを必要なときに自由に立ち上げられるようになったことで、さまざまな業務システムを動かしている陳腐化したOS環境を最新バージョンにアップグレードするほか、アプリケーションそのものをリプレイスしてコンプライアンス要件に対応できるようにガバナンスを強化したり、ユーザーエクスペリエンスを向上したりといった抜本的な改善にも思い切って取り組むことができます」と松林氏。

続けて南氏も、「ようやく工場のスマート化に向けた施策を展開していくための環境が整いました。例えば工場の4M(Man:人、Machine:機械、Method:方法、Material:材料)を可視化・分析できるようにするほか、PDM(Product Data Management:製品データ管理)やPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)といったアプリケーションもこの仮想環境から提供することで、開発・設計・生産のデジタル変革に貢献していきたいと考えています」と話します。

さらにその先に見据えているのが、オンプレミスのDell VxRailとパブリッククラウドを連携させたハイブリッド運用です。重要なアプリケーションやデータをコンテナ化して可搬性を高めてBCPを強化するほか、顧客の望む新たなサービスをネットワーク経由で提供していくなど、さまざまな構想が進んでいます。

プロジェクトメンバーのご紹介


ローツェ株式会社
IT戦略室
室長
南 勲 氏

ローツェ株式会社
IT戦略室
松林 宏明氏

お客様情報

お客様名 ローツェ株式会社
WEBサイト https://www.rorze.com/
カスタマープロフィール 「他社が販売している同等品は製品にしない。従来より優れた製品、すなわち世界的にニュースとなる製品のみを商品化しよう」を合言葉に1985年に設立。一貫した独自製品の開発、製造、販売、サポート体制とグローバルネットワークにより、自動化に対する様々なニーズを満たす搬送ソリューションを提供している。ローツェ製品は半導体や液晶の製造工程に必要不可欠な信頼性の高い搬送装置として、今や世界中の工場で稼働し続けている。

また、「仕事を楽しめる環境をつくる」の経営理念の下、社員の挑戦や成長を支援する施策を幅広く展開しており、すべての社員に対して海外子会社での研修を実施しているほか、知的財産報奨制度や英語力向上制度、通信教育・ライセンス制度、フリーエージェント制度など、数多くの支援制度を整備。ハードウェア/ソフトウェア開発に携わるエンジニアにとって、非常に働きやすい職場環境を実現している。

導入製品
  • VMware vSphere
  • VMware vSAN
  • Dell VxRail
導入パートナー 株式会社インフォセンス

※本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記載内容は2021年12月現在のものです。

 

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